MENU

悩みを「考える課題」に変えるための思考の起点

目次

悩みを「考える課題」に変えるための思考フレーム

成果を出すマネジャーと、忙しいだけで成果につながらないマネジャーの差は、能力や努力量ではなく、 「何を問題として扱っているか」にある。ピーター・ドラッカーが繰り返し強調したように、 マネジメントとは感情や精神論ではなく、成果への責任を引き受ける実践である。 その出発点は、個人やチームが抱える「悩み」を、成果に結びつく「考えるべき課題(イシュー)」へと変換できているかどうかにある。

一次情報を死守せよ ― 判断の質は情報の質で決まる

問題に立ち向かう際、私たちは多くの情報に囲まれている。 しかし重要なのは情報量ではなく、それぞれの情報が持つ「複合的な意味合い」をどこまで考え抜けているかである。 そのために不可欠なのが、一次情報を自ら取りに行く姿勢だ。

一次情報とは何か

一次情報とは、自分自身が現場で直接見聞きし、体感した情報を指す。 誰かの報告書や会議資料、数値の集計結果は、すでに解釈や加工が施された二次情報・三次情報である。

製造現場を例にすると

  • 一次情報:現場で作業者の動きを観察する、設備の音や振動を感じる、不良品を手に取って確認する
  • 二次情報:日報、品質レポート、稼働率の数値データ
  • 三次情報:会議用に要約された資料、他部署向けの報告スライド

一次情報を「死守せよ」という教えは、単に現場主義を唱えているのではない。 判断の拠り所を、他人の解釈ではなく、自分自身の責任で持て、という意味である。

情報を「感じ取る」力とメタレベル思考

さらに難しいのは、一次情報に触れたあと、それを「自分なりに感じ、意味づける」ことである。 多くのビジネス書は情報収集の重要性を説くが、このプロセスにはあまり触れない。

現場でどこまで深みのある情報をつかめるかは、その人が持つ判断尺度そのものに依存する。 ここで問われるのが、メタレベルのフレームワーク構築力である。

メタレベルとは何か

ここで言うメタレベルとは、「概念化する能力」を指す。 すなわち、目の前の事象を単なる出来事として終わらせず、 イシューとして捉え直し、構造化して考える力である。

  • この問題は、どんな要素で成り立っているのか
  • 要素同士は、どのような因果関係にあるのか
  • 成果に直結するポイントはどこか

この思考プロセスこそが、概念化の手順であり、短期間で身につくものではない。 知能や学歴は高いが、知性を感じない人が少なくないのは、 この力の重要性が軽視されてきた結果とも言える。

問題は「解く」前に「見極めよ」

多くの現場では、問題を「どう解くか」から議論を始めてしまう。 しかし本来は、「何に答えを出す必要があるのか」という問いから始めなければならない。

分析設計の基本ステップ

  1. 何に答えを出す必要があるのかを定義する
  2. そのために、何を明らかにする必要があるのかを考える
  3. 必要な情報と分析方法を設計する

本当に重要なのは、解くべき問題、すなわちイシューを見極めることだ。 ここを誤ると、どれだけ努力しても成果につながらない「犬の道」に入り込む。

犬の道的な議論スタイルとは

犬の道とは、目的が曖昧なまま、部分最適な議論や作業を積み重ねてしまう状態を指す。

  • とりあえず集められるデータを集める
  • 会議で出た論点をすべて深掘りする
  • 「頑張った感」はあるが、意思決定が前に進まない

どうすればよいか

例えば「生産性を上げたい」という悩みがあった場合、 いきなり業務改善案を出すのではなく、次のように問いを立て直す。

  • そもそも、業績に直結している仕事は何か
  • 今やっている業務のうち、イシューに関わるものはどれか

この問いを起点にすれば、議論は自然と成果志向になる。

生産性とは「イシューへの集中度」である

生産性という言葉を考えたとき、 今自分が取り組んでいる仕事が「確実にイシューである」と言い切れる人は多くない。 しかし、ここが好業績を残せるかどうかの分岐点になる。

仕事は「あるもの」であり、それをこなせば業績が上がると信じている人は多い。 だが実際には、業績に直結している仕事はごく一部にすぎない。

イシューに関わる仕事は少ない。 だからこそ、その少数に集中できれば、真の意味で生産性は高まる。 マネジャーに求められるのは、忙しさを管理することではなく、 成果に責任を持って「何をやらないか」を決める判断である。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次