イシューを一人で抱え込まないという判断
仕事や研究の経験が浅い段階で、イシューの見極めを一人で完結させようとすることはお勧めできない。 「これが検証できたらすごいのではないか」というアイデア自体は、誰でもいくらでも思いつく。 しかし、それが本当に受け手にとってインパクトを持つかどうかは、その領域に対する深い理解と経験がなければ判断できない。
ドラッカーが強調したように、成果とは自己満足ではなく「外部に対する貢献」で測られる。 イシューも同様で、「自分が面白いか」ではなく「相手にとって意味があるか」という視点で評価されなければならない。
イシュー見極めに必要な3つの判断軸
イシューを見極めるためには、少なくとも次の3点を同時に満たす必要がある。
- 実際にインパクトがあるか:成果や意思決定に影響を与えるか
- 説得力あるかたちで検証できるか:事実やデータで白黒をつけられるか
- 想定する受け手に伝えられるか:相手の関心や文脈に適合しているか
これらを見極めるには、一定の経験と「見立てる力」が必要になる。 経験が浅い段階では、この判断を単独で行うこと自体がリスクになる。
「知恵袋的な人」を持てるかが差を生む
イシューの妥当性を高める最も現実的な方法は、信頼できる相談相手に確認することだ。 老練で知恵のある人、あるいはその課題領域に直接的な経験を持つ人の視点は、極めて価値が高い。
実際、「知恵袋的な人」を持てるかどうかが、成果を出し続ける人とそうでない人の大きな分岐点になる。 ここで重要なのは、相談相手を社内に限定しないことである。
知恵袋は社外にも求めよ
- 社内の経験や常識は、時間とともに固定化しやすい
- 外部には、異なる前提や成功・失敗経験が蓄積されている
社内の知恵は当然ストックすべきだが、知識や発想が頭打ちになった場合には、 積極的に外に出て知恵袋を探したほうが、結果として生産性は高まる。
イシューは「考え続ける」ものではない
「イシューは何だろう」と考え続けている限り、いくら時間があっても足りない。 この状態を避けるために必要なのが、強引にでも前倒しで仮説を立てる姿勢である。
「やってみないとわからない」という言葉は、一見柔軟に聞こえるが、 実際には思考停止のサインであることが多い。 スタンスを取らず、仮説に落とし込まなければ、答えを出し得るレベルのイシューにはならない。
設問とイシューの違い
例えば、「◯◯の市場規模はどうなっているか?」という問いは、単なる設問にすぎない。
一方で、「◯◯の市場規模は、すでに縮小局面に入っているのではないか?」と仮説を立てることで、 この問いはイシューへと変わる。
仮説とは、設問を「答えの出せる問い」に変換するための装置である。
YES / NOで答えられるかを基準にする
答えを出すことのできるイシューや仮説とは、最終的にYESかNOで判断できるレベルの問いである。
- ✕「損益が悪いのはなぜか?」(説明要求であり、イシューではない)
- ◯「損益が悪いのは、単価設定に誤りがあるからではないか?」
後者であれば、単価と損益の関係を検証することで、仮説の是非を判断できる。 このように、仮説を伴って初めて、イシューはマネジメント判断に耐える形になる。
成果につながる思考とは何か
マネジメントの仕事とは、正解をたくさん知っていることではない。 限られた時間と資源の中で、成果に直結するイシューを選び、 責任をもって仮説検証を進めることである。
悩みを抱えたまま立ち止まるのではなく、 仮説を立て、人にぶつけ、修正しながら前に進めるかどうか。 この積み重ねが、判断の質を高め、組織の成果を左右する。
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