なぜ「コストを下げたのに、現場が苦しくなる」のか
私は長年、製造現場で班長として働いてきました。
現場を見ていると、こんな声を何度も聞いてきました。
- 「コスト削減は達成したのに、仕事がやりづらくなった」
- 「数字は良いはずなのに、なぜか現場が疲弊している」
これは決して、現場が怠けているからでも、努力が足りないからでもありません。
原因は「費用(コスト)」を中心に考えるやり方そのものにあります。
費用を基準にすると、なぜ部分最適が起きるのか
会社ではよく「コストを下げよう」「予算を守ろう」と言われます。
これは間違いではありませんが、費用だけを評価の基準にすると、考え方が狭くなりやすいのです。
現場でよくある具体例
- 残業代を減らすため、作業を無理に前倒しする
- 教育時間を削って、今すぐ手が動く仕事だけをさせる
- 部品を安く仕入れるため、大量に在庫を抱える
これらはすべて、「その場の費用」は下がります。
帳簿の数字だけ見れば「改善」です。
しかし現場では、こんなことが起きます。
- 作業ミスが増える
- 引き継ぎができず、特定の人に負担が集中する
- 在庫が増えて、置き場や管理に手間がかかる
つまり、一部分だけ良くして、全体が悪くなる。
これが「部分最適」です。
なぜ短期的な考え方になってしまうのか
費用削減には、ある特徴があります。
- 今すぐできる
- 数字にすぐ表れる
- 評価されやすい
たとえば、教育を1日やめれば、その日の人件費は減ります。
設備点検を先送りすれば、当月の修理費はゼロになります。
でも、こうした判断の影響は後から出てきます。
- 新人が育たず、ベテランが疲弊する
- 設備トラブルで、突然ラインが止まる
- 納期遅れで、信頼を失う
短期では良く見えても、長期では苦しくなる。
これが、費用中心の考え方が短期思考に陥りやすい理由です。
現場目線で考えたい「本当に大事なこと」
ここで一度、問いを立ててみてください。
Q:私たちの仕事の目的は何でしょうか?
答えはシンプルです。
- お客様に価値を届けること
- 仕事を止めず、安定して流し続けること
- その結果として、会社が続いていくこと
費用を下げることは目的ではなく、手段のひとつに過ぎません。
班長として伝えたい考え方
現場では、こんな視点を大切にしてほしいと思っています。
- その削減は、仕事の流れを止めないか
- 将来の負担を増やしていないか
- 他の人や工程にしわ寄せがいっていないか
少し遠回りに見えても、
- 教育に時間を使う
- 設備を丁寧に保全する
- 無理な効率化をしない
こうした判断が、結果的に安定した生産と利益につながることを、私は何度も見てきました。
まとめとして現場に伝えたいこと
費用だけを見ると、考えはどうしても狭くなります。
だからこそ、
- 部分ではなく全体を見る
- 今だけでなく、少し先を見る
- 数字の裏にある現場の動きを考える
これが、現場を守り、会社を強くする考え方です。
私たちの仕事は、数字を良く見せることではありません。
仕事がきちんと流れ続ける現場をつくること。
その積み重ねが、結果として数字にも表れてきます。
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