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「悩む」と「考える」を混同する組織は、成果を失う

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「悩む」と「考える」を混同する組織は、成果を失う

多くのマネジャーや現場で、「悩んでいる=真剣に考えている」と誤解されています。しかし、ドラッカーの思想に照らすと、この二つは明確に区別されるべき行為です。

「悩む」とは、「答えが出ない」という前提に立ち、思考が循環し続けている状態です。一方で、「考える」とは、「答えは出る」という前提に立ち、意思決定に向けて思考を組み立てていく行為です。

マネジメントとは「問題を論じることではなく、成果を生み出すための意思決定である」と述べています。つまり、答えが出ない状態に留まり続けることは、マネジメントの放棄に近い行為だと言えます。

悩んでいる人と、考えている人の違いを見分けられる人は意外と多くありません。そこで、悩んでいる人に対して、次の問いを投げかけてみてください。

「それは、あなたが答えを出すべき問いですか?」

この問いによって、そのテーマが「自分の課題」なのか、「自分では答えを出せない課題」なのかが切り分けられます。ドラッカーは、マネジャーの責任とは「自らがコントロール可能な領域において成果を出すこと」だとしています。

悩み続ける人の多くは、「自分の課題として引き取ることは避けたいが、誰かが解決してくれることを期待している」状態にあります。しかし、責任を引き取らない限り、成果は生まれません。

たとえば、日本全体の社会問題を議論すること自体は否定されるものではありません。ただし、それが自分の影響範囲を超えているなら、それは「思考」ではなく「雑談」や「娯楽」に近いものです。

課題を解決したいのであれば、「自分が責任を持てる問いに限定する」。これはドラッカーが一貫して強調したマネジメントの基本姿勢です。

Q:その悩みは、あなたが成果に責任を持つべき問いでしょうか?


生産性とは「忙しさ」ではなく「貢献の大きさ」である

一般に生産性は、次の式で表されます。

生産性 = 成果 ÷ 投下した時間

しかしドラッカーは、「重要なのは効率ではなく、正しいことへの集中である」と述べています。どれだけ効率的でも、成果につながらない仕事はマネジメント上の価値を持ちません。

ここで重要になるのが、「イシュー度」「解の質」という二つの軸です。

※イシュー度:その課題が成果にどれだけ直接的に影響するか ※解の質:課題に対する解決策の完成度・再現性

ドラッカーの言葉で言い換えるなら、イシュー度とは「貢献度」です。その仕事は、組織の成果にどのような貢献をするのか。この問いに答えられない仕事は、生産性が高いとは言えません。

製造業の文脈では、イシュー度の高い課題は「制約」として表現されます。制約とは、成果を制限している最も重要な要因です。

生産性の高い仕事とは、制約に対して、十分に質の高い解を提供している状態を指します。作業量の多さや忙しさは、ここでは評価軸になりません。

Q:その仕事は、組織の成果にどのような貢献をしていますか?
Q:制約に対する解として、十分な質を持っていますか?


ドラッカーが否定した「犬の道」という働き方

ドラッカーは、「一生懸命さ」そのものを評価しませんでした。目的のない努力は、成果につながらないからです。

安宅和人氏が言う「犬の道」とは、まさにこの状態を指します。イシューかどうかを見極めず、「とにかくやる」「とにかく進む」ことで安心感を得ようとする働き方です。

このアプローチが危険なのは、努力そのものが目的化してしまう点にあります。ドラッカーは、マネジャーの仕事を「働くこと」ではなく「成果を出すこと」だと定義しました。

本来のアプローチは、現在地を把握し、目的を定め、その差を埋めるための最適な行動を選択することです。これはドラッカーが強調した「成果から逆算する思考」に他なりません。

ただし、初期段階で情報が不足している場合には、「とりあえず動く」ことが有効な場合もあります。その際も、行動しながら問いを更新し続けることが前提となります。

Q:今の行動は、成果に向かうための最短ルートでしょうか?
Q:それとも、努力すること自体が目的になっていないでしょうか?

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