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考えるための材料をどう集めるか ― ドラッカーに学ぶ情報収集の前提

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考えるための材料をどう集めるか ― ドラッカーに学ぶ情報収集の前提

イシューを見立てる前段階で重要なのは、完璧な調査や網羅的な分析ではない。 取り組んでいるテーマや対象について、考えるための材料をざっくりと得ることが目的である。

ピーター・ドラッカーは、「成果とは知識そのものではなく、知識を行動と判断につなげた結果である」と述べている。 情報収集も同様で、集めること自体が目的化した瞬間に、生産性は失われる。

時間をかけすぎずに大枠の情報をつかみ、対象の実態についての肌感覚を持つ。 この感覚こそが、自分らしいイシューの見立てを可能にする。

コツ① 一次情報に触れる ― 判断の責任を引き受ける

第一のコツは、一次情報に触れることである。 一次情報とは、誰の解釈や編集も通っていない、生の情報のことを指す。

ドラッカーは、マネジメントを「意思決定への責任」と定義した。 一次情報に触れるとは、判断の材料を他人に委ねず、 自分が責任をもって判断するための土台を取りに行く行為である。

「優秀」「頭がよい」と評価される人ほど、 効率を重視するあまり二次情報に依存しがちだ。 しかし、仮説を立てる段階でそれをやると、 最初から他人の色眼鏡をかけたまま思考することになる。

現場に行くという行為の意味

知らない相手にインタビューを申し込む行為は、 英語で「コールドコール」と呼ばれる。 これができるようになると、思考の生産性は飛躍的に高まる。

できる経営者や管理者が現場を歩くのは、 「現場主義」という精神論ではない。 現場で一次情報に触れなければ、 成果に責任を持つ判断ができないことを理解しているからだ。

社外に「聞ける人」を持っている人の生産性が高いのも同じ理由である。 自分一人の知識に閉じず、 より良い判断を下すための外部資源を使っているにすぎない。

コツ② 基本情報をスキャンする ― 全体像から考える

二つ目のコツは、基本情報をブレもモレもなく、素早くスキャンすることである。 ここで重要なのは、細部の正確さではなく、全体像の把握だ。

ドラッカーは、「まず全体を見よ。部分はその後である」と繰り返し述べている。 イシューを見誤る人の多くは、全体を見ないまま部分に入り込む。

① 判断に使える数字を押さえる

どの分野にも、最低限押さえるべき数字がある。 製造現場であれば、原価、稼働率、不良率、人員配置などがそれにあたる。

数字を知らなければ、基準が持てない。 一方で、数字は単独では意味を持たない。 判断につながる文脈の中で使える数字かどうかが重要である。

ドラッカーが警告したように、 測定できるものを測るのは簡単だが、 成果に関係しない数字を追い始めると組織は誤る。 「数字マニア」になることは、生産性を下げる典型例である。

② 問題意識の前提を押さえる

問題意識とは、突然ひらめくものではない。 次のような前提知識の上に成り立つ。

  • 分野・業界・事業の歴史的背景
  • 一般的な常識や通念
  • 過去に行われた検討内容とその結果

製造現場改善であれば、 「これまで何をやってきて、何が起きたのか」を知らなければ、 同じ失敗を繰り返すだけになる。 ドラッカーの言う「知識労働」とは、過去の学習を現在の判断に生かすことでもある。

③ 既存のフレームワークを理解する

どんな課題にも、これまで使われてきた整理の枠組みがある。 検討している問題が、既存のフレームワークの中で どのように位置づけられてきたのかを理解することは不可欠だ。

これは「型にはまる」ためではない。 自分のイシューや仮説が、どこで既存知と異なるのかを明確にするためである。

MECEという視点

基本情報をスキャンする際の重要な考え方がMECEである。 MECEとは、「モレなく、ダブりなく」論点を整理する視点を指す。

ドラッカー流に言えば、 これは「重要なことに集中するための思考整理」である。 全体を把握できなければ、 何が重要で、何を捨てるべきかは決められない。

考えるための問い

  • Q:自分は判断の責任を引き受けるために、どんな一次情報に触れているか。
  • Q:MECEとは何かを、自分の業務文脈で説明せよ。
  • Q:現場改善において、成果判断に直結する数字には何があるか。
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