悩みを「成果につながる課題」に変えるためのイシュー分析とピラミッド思考
マネジャーや管理職候補者が日々直面する悩みの多くは、
「忙しい」「うまくいかない」「部下が動かない」といった感情や状況の表現にとどまっています。
しかしドラッカーが指摘したように、マネジメントの責任は「気持ちを理解すること」ではなく、
成果に結びつく意思決定を行うことにあります。
本記事では、個人やチームの悩みを、
成果につながる「考える課題(イシュー)」へ変換するための思考フレームとして、
イシュー分析・ストーリーラインづくり、そしてピラミッドストラクチャーを組み合わせた考え方を整理します。
イシュー分析の2つの要素
イシュー分析には、次の2つの要素があります。
- ストーリーラインづくり(何をどう考えるかを定める)
- 絵コンテづくり(考えた内容をどう伝えるかを設計する)
本記事では、前者であるストーリーラインづくりに焦点を当てます。
ストーリーラインづくりとは何か
ストーリーラインづくりとは、
イシューの構造を明らかにし、その中に潜むサブイシューを洗い出し、分析の全体像を描くプロセスです。
このプロセスを通じて、次の点が明確になります。
- 最終的に何を成果として生み出すのか
- マネジメント判断として何を伝える必要があるのか
- そのために、どの分析・情報が本当に必要なのか
これは、ドラッカーの言う「成果とは外部への貢献である」という考え方に沿った、 成果起点の思考整理だと言えます。
ピラミッドストラクチャーとは何か
ピラミッドストラクチャーとは、思考や主張を次の3層で整理する考え方です。
- 頂点:結論・答え・イシューに対する主張
- 中段:結論を支えるサブイシュー(論点)
- 下段:サブイシューを検証する事実・分析・データ
重要なのは、下から積み上げるのではなく、頂点(結論)から逆算して構造を組み立てる点です。
これはドラッカーが述べた、
「意思決定とは、何について決めるかを先に定義することである」
という考え方と一致します。
ストーリーラインづくりとピラミッド構造の関係
ストーリーラインづくりは、ピラミッドストラクチャーで思考を設計する行為そのものです。
具体的には、次の対応関係にあります。
- イシュー = ピラミッドの頂点(最終的に答えるべき問い)
- サブイシュー = ピラミッドの中段(結論を支える論点)
- 分析・データ = ピラミッドの下段(検証材料)
この構造を先に描くことで、 「とりあえず分析する」「データを集めてから考える」 といった成果に結びつかない努力を避けることができます。
分析から始めない──最終形から逆算する
現場では次のような進め方がよく見られます。
- 手元にあるデータを分析する
- 結果を見て論点を探す
- 不安になり、追加調査を行う
この進め方では、成果に対する責任が曖昧になります。
ストーリーラインづくりでは、まず次の問いを立てます。
「このイシューに対する答えは何か。
その答えを示すために、どんな論点と分析が必要か」
つまり、ピラミッドの頂点を先に仮置きするのです。
第一歩:イシューを分解する
多くの悩みは、そのままでは大きすぎて答えが出せません。
例:
「売上が伸びない」「チームが機能していない」
そこで、イシューを答えを出せるサイズまで分解します。 これがサブイシューです。
イシュー分解の2つの原則
- ダブりもモレもなく分解する(MECE)
※MECE:重複なく、漏れなく整理すること - 本質的に意味のある固まりで分ける
これは、ピラミッドの中段を安定した構造にするための条件です。
あいまいさを放置しないというマネジメント責任(私見)
「モチベーションが低い」「主体性がない」といった表現は、 人によって解釈が異なります。
あいまいな言葉を放置すると、 認識のズレが生まれ、成果への責任が分散します。
そのためマネジャーは、
- その言葉は具体的に何を指すのか
- 観測可能な事実は何か
を問い直し、定義を与える責任があります。
切り分け方が成果を左右する
ピラミッド構造では、 中段(サブイシュー)の切り方を誤ると、 下段でどれほど分析しても結論に届きません。
これは、努力不足ではなく構造設計の問題です。
だからこそ、本質的な固まりで切り分けることが、 成果を出すマネジメント判断の前提になります。
MECEに切る姿勢について(私見)
完璧な切り分けを最初から求める必要はありません。
重要なのは、自分の思考に抜けや偏りがないかを点検しようとする姿勢です。
これは、「自分の判断に責任を持つ」という、 マネジメントの基本姿勢と重なります。
構造で捉えると、問題は「扱える課題」に変わる(私見)
問題を構造で捉えるとは、森を描くことです。
イシューとサブイシューが見えるようになると、 一見すると解決不可能に思える悩みも、 分解可能で、扱える課題へと変わります。
これは、ドラッカーの言う 「強みを基盤にして成果を上げる」ための出発点でもあります。
ディスカッション用の問い
Q1:
最近直面した「悩み」を、イシューとして書き換えるとどうなりますか。
Q2:
そのイシューを、サブイシューに分解するとしたら、どのような切り方が考えられますか。
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